前回のブログで見たように、DHCはビデオリサーチインタラクティブの最新データ(2007年7月9日週)で158位、テレビ東京(157位)とキリン(159位)に挟まれたところにランクインするほど多くのユーザーを集めています。
一体、どこから、またどうやってDHCはユーザーを集めているのでしょう?2007年6月における dhc.co.jp への流入元サイト上位10サイトをみると、ポータルやショッピングサイト、SNS、ポイントサイトなどが並んでいます。googleなど検索サービスもランクインしていますが、流入ユーザー数でみるとその他のサービスの方が圧倒的に多くなっています。 流入元で最大のヤフーの詳細を見ても、確かに検索からもユーザーは流入していますが、それよりもニュースからの流入が多くなっていますし、また天気や掲示板など様々なサービスから流入していることも分かります。 この結果から分かるのは、DHCはユーザーを集めるに当って検索結果と繋がっている「リスティング広告」よりも各サイトに貼られている「バナー広告」を重視しているという事です。つまり、Web2.0的なリスティング広告を駆使してユーザーを集めるよりも、マスコミ的に露出を増やしてユーザーを集める戦略を取っているようにSydには思えます。 そういえば、流入元上位10サイトの流入ユーザー数を単純に合計すると、DHCの月間ユーザーの60%を占めています。DHCは、ロングテールをこまめに拾っていくというよりもヘッド部分をガッチリ確保するという方針のようです。 Sydが以前セミナーに参加したとき、あるECサイトの運営をされてらっしゃる方が「ロングテール部分だけを拾っていても利益を出すのは難しい。ヘッド部分をしっかり確保した後でならテール部分も拾っていくことも可能。」という趣旨のコメントをされていました。DHCもこういった考え方で運営されているように思えます。 この先もDHCは「バナー広告でガッチリとヘッド部分を確保!」という戦略で走り続けるのか、それともあるタイミングでWeb2.0的に検索などを駆使したユーザー集めに舵を切るのでしょうか。その前に、Web2.0の仕組みを使ってユーザーを集めて成功するECサイトが次々と現れてきたりするのでしょうか。 実は、SydはこのDHCの動きを「ECサイト」としてだけでなく「企業サイト」という視点からも興味深く見ています。今まで企業サイトは「カッコイイサイトを作る」というところに力点が置かれていて、「サイトに人を沢山集める」、更には「サイトを通じてユーザーとより深くコミュニケーションを取る」という部分をそれほど重視していなかったように思えます。DHCは「積極的に自社サイトにユーザーを集める企業サイト」として先進的で、そのユーザーを集める手法はこれからサイトへの人集めを本格化させる企業のひとつのケーススタディーになると思います。 この先、DHCはどのような戦略・戦術を取っていくのでしょう?また、DHCのような動きをする企業は他にも出てくるのでしょうか。こういった視点から、企業サイトの動きを楽しみに分析していきたいと思います。 #
by crazyfujiyama
| 2007-07-25 10:54
| その他個別サービス市場
DHCとわかさ生活、テレビCMを良く見かけるこれらの会社はインターネット上でも存在感を高めています。今日時点におけるビデオリサーチインタラクティブの最新週間データ(2007年7月9日週)によれば、DHCは158位、わかさ生活は190位にランクされています。
ちなみに、この週の他の顔触れを見てみると、キリンが159位、KDDIが181位、日産が194位、JR東日本が199位・・・などとなっており、DHCやわかさ生活はインターネット上ではこれらの企業と同じくらいの存在感を示しています。 さて、DHCとわかさ生活はSydから見ると「健康」を共通のキーワードに持っており、ユーザーも多くが重なっているのでは、と勝手に想像していました。しかし、2007年6月におけるユーザーの重複状況をみてみると、確かにわかさ生活サイトのユーザーの6割がDHCとは重なっていますが、しかし8割以上の重複をイメージしていたSydにとっては少々ビックリな結果でした。 この背景には、どんな状況があるのでしょう?これは、ユーザープロファイルを比較すると見えてきます。 まず、女性比率を見てみるとDHCは6割を超えていますがわかさ生活は54%となっており差が目立ちます。わかさ生活の方が男性利用者の比率が高くなっていることが分かります。特に、わかさ生活の「男性35~49才」の構成比率を見るとDHCを大きく上回っています。わかさ生活の「ブルーベリーアイ」はパソコンの前で過ごすことが多いこの層に強く支持されており、これが比較的男性比率が高くなっている理由だと思われます。 これに対して、DHCは「女性20~34才」「女性35~49才」の層でわかさ生活の構成比率を上回っています。DHCのサイトを見ると、健康食品と同じくらい化粧品を強く押しています。この商品構成が、わかさ生活よりもDHCの女性比率が高くなっている理由だと考えられそうです。 DHCとわかさ生活は同じようなタイミングでユーザーを伸ばしてビデオリサーチインタラクティブの上位200サイトにランクインしてきましたが、必ずしも同じユーザーに支持されて利用を伸ばしてきた訳ではないようです。 では、これらのサイトはどんな手段で利用者を伸ばしてきたのでしょう?その手段という点では共通点が見出せるのでしょうか。もしかしたら「ロングテールの巻き取り」に成功しているとか!?どこまで明らかに出来るか分かりませんが、次回のブログで「DHCとわかさ生活がユーザーを伸ばしている秘密」について分析したいと思います。お楽しみに。 #
by crazyfujiyama
| 2007-07-24 16:47
| その他個別サービス市場
今回は、live.comのユーザープロファイルを分析してみたいと思います。
まず、2007年6月におけるlive.comの月間女性比率を見ると42.8%、これはmsn.comよりは高いもののmsn.co.jpを下回っています。ただ、この月のネットユーザー全体の女性比率は43.7%でした。どうやらマイクロソフト関連のサイトは女性比率が低めで、live.comも全体を下回っています。 しかし、F1層と呼ばれる女性の20~34歳層の比率を見てみると、live.com, msn.com, msn.co.jpともにネット全体のF1比率(12.6%)を上回っています。これらのサイトは「女性一般」には人気がないものの「F1層」には人気があるようです。Live.comはその中でも最も高いF1比率を誇っています。 また、live.comは「M1層」と呼ばれる男性の20~34歳層の比率でもmsn.comとmsn.co.jpを上回っています。その結果、live.comはF1比率とM1比率を合わせた「F1M1比率」で唯一30%を上回っています。 「20~34歳の男女が牽引している」というのがlive.comの特徴のようです。そしてこれは、広告事業を展開するに当って強みになりそうです。しかし、広告事業という点からみると、Sydにはちょっと気になる点もあります。それは、前回のブログで分析したように、live.comは「検索」と「ログイン」というツールの提供が主なサイトになっているという点です。 「検索」についてはまだまだ伸びるリスティング広告が入るかもしれませんが、ここもログイン画面も最近広まりつつあるリッチな表現力の広告とはあまり相性が良く無さそうな気がします。折角live.comには質の高いユーザーがいるのですから、彼らに対して魅力的な広告を掲出出来るスペースがあると広告主からの注目ももっと高まるかも、とSydは思います。 もちろん、live.comはマイクロソフト内の他のサービスへの誘導窓口であって、ここで大きな広告売上は期待しない、というスタンスでしたら問題は無いのですけど。ただ、Sydから見るとこのサイトに集まっているF1M1層のユーザーを活用しないのは勿体無いのでは、と思えて。 さて、この先マイクロソフトはどのようにlive.comを活用していくのでしょう?楽しみに追っていきましょう。 #
by crazyfujiyama
| 2007-07-11 11:37
| その他個別サービス市場
先日このブログで「ログインが必要なサービスはlive.com」とうっかり書いてしまいましたが、もう少し詳しく調べたところこれが大きな間違いであることが分かりました。大変申し訳ありませんでした・・・
2007年6月におけるlive.comのサブドメイン毎の利用者数など基本指標を見たところ、ログインのページを抑えて最もユーザーを集めているのは「検索」であることが分かりました。検索はログインをしなくても使えます。 ちなみにこの検索、利用者数はmsn.co.jpにおける「検索」を上回っているだけでなく、その1.3倍のユーザー数に達しています。また、月間リーチで見ても2.2ポイントという大きな差が付いています。Live.comの検索は今ではmsn全体のサービスにおいても重要なもののひとつにまで成長しているようです。こんな大事な点を見落としておりまして、本当にすみませんでした。 Live.com全体の月間リーチを見ても、検索の伸びに牽引されて2006年6月の9.5%から2007年6月には18.6%まで伸びています。これは、msn.co.jpやmsn.com、そしてmsn全体が減少する中で大変興味深い動きだと思われます。 一体、msnに何が起こっているのでしょう?もう少しlive.comについての分析を通して探ってみたいと思います。 #
by crazyfujiyama
| 2007-07-10 10:30
| その他個別サービス市場
前回、マガシークの利益率について分析しましたが、今回はその会員について分析したいと思います。
2007年3月末時点でマガシークの会員数は全体で56万人、そのうち過去1年間に1回以上購入履歴のある会員「アクティブ会員」の数は12万人でした。このアクティブ会員1人当たりのマガシーク事業売上高(2006年度)を計算すると約39,000円になります。 ところで、皆さんはマガシークのサイトをご覧になったことはありますでしょうか?商品の値段に注目すると、ブランド毎に価格帯にバラつきはあるものの1万円以下の商品がたくさん目に付きます。これらは、バーゲンセールで50%オフになると5,000円以下になってしまいます。この価格帯のものを1回で4万円近く買う人はそれほど多くはないようにSydには感じます。 マガシークはその決算発表資料において、アクティブ会員を「1回のみ購入」と「2回以上購入」という2つのグループに分けて発表しており、それぞれの比率は「1回のみ」が約6割・「2回以上」が約4割となっています。先に計算したアクティブ会員1人当たり売上を考えると、アクティブ会員の約4割(これは全会員の12%に当たります)を占める「2回以上購入会員」がマガシーク事業の売上において重要な役割を果たしているように想像できます。 前回のブログにも書きましたが、マガシークはOLさん向けファッションを中心に扱っていますので、商品単価を大きく高めるのは難しいと思われます。またOLさんはファッションに使えるお小遣いも限られているので、購入1回当たりの販売額を上げるのも難しそうな気がします。 こういった条件の下で売上を伸ばし利益率を高めるためには、アクティブ会員数を増やしながら「2回以上購入会員」の比率を高めることが近道だとSydには思えます。「リピーターを増やす」「利用者を囲い込む」・・・これはいろんな形で表現出来そうです。 最近急速にネットの世界でも広がりつつある「ポイント制」など、「2回以上購入会員」を増やすことに繋がりそうな仕組みは日々進化しています。マガシークのブランド力と品揃えは非常に競争力が高そうなので、「2回以上購入会員」が増加すればもしかしたらこの先売上・利益率をもっともっと高めることが出来るかも知れません。 マガシークの決算発表資料中の「将来展望」には「既存顧客層への認知度と販売数量の増加」ということが書かれていますが、それを実現する方法には触れられていません。一体どんな方法を取るのでしょう?Sydは「2回以上購入会員数/ 比率」に注目して追っていこうと思います。 #
by crazyfujiyama
| 2007-06-29 11:13
| その他個別サービス市場
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